風車



風車ふたつ並んで
風を電気に変えようと
プロペラ回す

風当たり強い
山の上

大柄な風情で
繊細な手作業

着膨れた雲
逆現象航路を行く

人間は何を知って
いるのでしょか





雲上






畑を歩むとは

雲上を歩むと

いうことだ

畑の底より

立ち上がる

世界





神保野原






牡丹の花だ
その上で
トライアングル薔薇
それらの上に
ほんわか月

トライアングル薔薇なリズム

牡丹なコーラス

ほんわか月なピアノ

夕映えな歌

なごんでいいか

なごんでいいさ

それじゃ

御言葉に甘えます






花と音楽






地下鉄の錆

軋む憶測

平和を撤去して広がる電気誤域

地下鉄風
未来階段
かけ上がると

温暖化ぶった看板
バーゲン世紀に並ぶ人々

立ち止まるふあんげ男女

ランドセルに楽譜

携えて並ぶ
ビル横に並ぶ
音楽のように

僕は英雄群の横に並ぶ
奴らに気づく群衆など
存在せず

僕は直接音楽の列に
話しかける




酒シャツ






畑では
1950年代の
ニューヨークで
話題にならなかった
長袖Tシャツを着ている
シャツには

酒の汗を畑に撒け

と書かれている
俺は酒を飲まずに
いられる法統な総督将軍






やっほう天気予報






群衆という書籍
都会という表紙

宣伝の如き洗練
人間に押し寄せてくる
呪縛

彼でさえ
七つ翼の
彼でさえ

救いを待っている

それらページを
飛ばして冬風
上機嫌なクルージング

おいら適度な
サイクリング
やっほう







ロック歌手






おいらロック歌手
衣装といえば
着流しステテコ

駅にコインロッカー
おいら自宅はそこで
駅雑踏の騒ぎを食事とす

そこで蓄電して
恵比寿アリーナで
パフォーマンス放電

宣伝せんで
おいらいっさい
宣伝せんで

宣伝せんのんに
おいら恵比寿アリーナ
ごった返し大盛況

犬のように騒いで
猫のように気まぐれよ

そんなお客に愛想笑い
ハイソサエティな
おいらロック歌手










ガジュマルのように立って
ずっと
海に向かう

パイナップル畑のように横たわり
ずっと
空に向かう

空に託した郷愁を
海に帰す頃

海と空を
労るように

夕陽がやさしく通りすぎる

やがて

僕はやすらぎの歌を

口笛で歌う

歌は星として
速度を増しながら

愛嬌ある国を遍歴する







でかい羽ばたき






下世話な規律など知らん

でかい翼で飛んでるだけだ

下世話な工作街が
でかい羽ばたきでポシャったなど知らん

でかい翼で飛んでるだけだ

下世話な騒音など知らん

待つなんて知らん

でかい翼で飛んでるだけだ

下世話な計画など知らん

でかい翼で飛んでるだけだ








千羽なラブソング






仕舞い忘れた階段を
ひとまず天に立てかけとく

留守にしていた部屋
冷えてたので呼んで

待った
千年待っただけで来た
早かったなと
讃えて抱いた

千羽なラブソング
部屋を温ませた






天の川






天の川流れ

豊かな音楽

問いを忘れるほど大きな答えの大河

ほんとの声を
聞きたい

ほんとの言葉が
欲しい

誰かの言葉ではなくて

きみの言葉が

欲しい

豊かな流れを覚えている

ともに流れてずっと

きみを抱きしめている







階段を






旅人よ
畑を
なぜ耕さない

旅人よ
お前の畑はどこだ

だが旅人よ
通り過ぎてく

積み上げられた
苦の石を

綺麗な趣だとかほざいて
旅人は通り過ぎる

通り過ぎてく

気を楽に
通り過ぎてく

苦の林を

異国情緒にして
くぐり抜ける


暑い夕暮れ
汗をたらして
階段を耕す
人がいる

階段を






静寂の賑わい






森の頭上を
飾る月

月の静寂

静寂の賑わいは



蝉たちは

月あらわれて
よりいっそうの

熱唱となる

森の賑わいは

命の歌







甘く美しい岸辺にて






謎の時間を噛む

ポケットを噛む

ポケットの小ギャグ
並べたりする

何百億悲しさを
並べて噛む

残さず
すべて噛む

甘く美しい岸辺にて









偶然






丘にフェンス
フェンスの上に

鳩が居る

ふと

鳩を飛び越える



その軽やかにして巧みな飛空

その後

フェンスから

羽ばたく鳩

それぞれの羽は

奔放を演じながら
システム駆動にて
力強く羽ばたく

このような
風景は

茶飯事ながら
街を堂々と超える

人間の意味の及ばぬ領域に

偶然の正しさあり








veranda dance






月の光は昔の祈り

未来の微笑み

ベランダにおいでよ

洗濯物に頭撫でられながら

ベランダにおいでよ

洗濯したてだからひんやりするけど

月の光で暖まりなよ

月の光を浴びて

背伸びして

もっと近く

もっと近くまで来て

暖まりなよ





森言葉






森を繁栄させる言葉として

蝶や鳥などがいる

他の動物も

森の言葉である

これらの言葉を使って森は種子を運ばせ繁栄していく

鳥は大昔
恐竜だったとの説がある

恐竜は
使われなくなった言葉である
流行らない言葉であるから

鳥という
より適した言葉へと変化したのだ

鳥はより遠くへ種子を運べる

はたして
森にとって
人間は使い続けるべき言葉なのか

人間は流行遅れの言葉になってしまったかもしれないのだ

だがとうぶんは大丈夫だ

「他の惑星に種子を運ぶ」

これこそ森の言葉なのだから






朱雀の心






なんと朱雀に
柔らかく飛空するよう
依頼したら
朱雀柔らかく答えて飛空

朱雀は柔らかい

朱雀はたくましい

街を飛空
併走すればたくましい
併走すれば柔らかい

大きな思惑

大きなおせっかい

朱雀は静かに羽ばたく

朱雀の羽に
くすぐられ
笑いながら併走






森フルーツ






森に自生する果実は
すっぱい
苦い渋い

小さな枯れ葉
などついている

果実はいびつ
いびつな野生果実を

森の奥でいただく

都会の高級フルーツ
糖度教育なフルーツ
凌駕する

かぶりつく
森で果実食えば
果汁は土を潤わせて

森にて見上げる虹

虹はきっと苦い






玄武の心






異常増加する非常扉

非常扉に貼る満員御礼

狭き通常通路側

素直な心霊の

発動により発展

龜の容量無限

すでに常に
正常な耐久

玄武から渡来する

暖かい友情







白虎の心






音楽に辿り着かない

グルーヴは訪れない

言葉は届かない

嘆きを咆哮に

渇きを走行に

彷徨を繰り返しながら

次元の謎を笑いながら

王道を駆ける

駆ける場所すべてを王道にして

荒野に街に響き渡る

白虎の心






万物屋






万物屋という店を開けたのは

早朝の風でした

風が店の扉を開けたのです

あれだけ
力自慢の男達が入れ替わり立ち替わり訪れて
万物屋の扉を開けようと長年挑戦し続けたというのに

あっさり開けたのは爽やかな風だったのです

万物屋のなかに人々は入りました

秘められた品々が陳列されているはずの扉の向こう側は

荒野でした

荒野の真っ只中で途方に暮れる人々

振り返ると

扉は閉まっていたということです

扉に書かれた

店の名前は

万物屋




菖蒲園



ガラシャツを着た男と薄笑いのマスクを被ったような男が

舞台の中央に
媚びるでもなく
ひねくれるでもなく
リズムよく出てきましたな

あれですよ

なんでげすかね

あいつの話です

ああ あいつね はいはい

あの
山のように大きなやつの話ですよ

おい おい ちょい ちょい
山のように大きなやつなんて
存在せんぜ 存在せんぜやんしょ?

こっちこそ おい おいだよ
話の流れってのを知らないのかおまえは

話の流れ知ってたら今頃 こんな汚い小屋じゃなくて
テレビで漫才やっとるわい えっへん

えっへん じゃないよおまえは 失礼なやつだなあ とにかく話の流れを汲み取ってテンポよくやりましょう

わかった わかった えっへん


じゃ 初めから…あいつの話ですよ
あの 川のように大きなやつの…

おい おい 話変わってるじゃないか

おや 話の流れを汲み取ってるじゃないかおまえは

もういいよ


この二人は今も小屋で頑張っているということでございます




青龍の心





花は白

階段は黒

紅の舟

青い希望

王の帰還に
万物が震える

白い知性

黒い力

紅の羽ばたき

旅する青き王

存在を超えた
大いなる愛を
まとう世界の
青き王の帰還に

玉座は称え

花は喜び

王を迎える

そしてまた
それぞれの旅





詩人






詩集なら街

詩集は
大きな書店に整列して
あなたが到着したならば
丁寧なお辞儀をしてくれるでしょう

新しい詩集のインクの匂い
上質な紙のやさしい手触り
あなたは高価な詩集に酔いしれるでしょう

でもあなたが
詩人をお探しなら

詩人は街にはいません

山の草の中を探してください
大きな石の裏を覗いたり
大きな木の枝に腰掛けたりしてください

きっと
そこに詩人がいますから






平凡な町






平凡に町は宇宙に
晒されている

宇宙に向かう
じゃない

宇宙を避ける

じゃない

平凡に町は宇宙に
晒されている

熟練の寂しさありて
帰路の鳩








羽ばたきを運ぶ






てっぺんの
心ぼそさに

雨に濡れながら
小鳥頷く

旅は小鳥そのもの

てっぺん揺らして
新しい羽ばたきを運ぶ
毎日ずっと






夕べ真詩






小さな船
大きなカーブを描く
帰路となって

ださい構造物に寄る

決まった夕べに
帰ってくる小さな船

微笑みのような
夕映え

ださい構造物に
精悍な夕映え

微笑みのような
夕映え







竪琴






きよらかな

歌を歌いたい
ずっと ずっと

きよらかな

踊りを踊りたい
ずっと ずっと

きみと






ヌーバニア山頂上






雲近き
山頂上に
僕達集合して

そして空は小さい
意外と
宇宙は小さいと
したって不思議じゃない
ほどに

山頂上に
海の潮の香りや
鶉の巣の匂いや
保育園の毛布の
埃さえ
山の頂上に集合している

憤りをしばし
頂上に降ろして
塩お結びを食べる









山の人達






夕暮れの細い山道を上がって
道の傍にピンクの花が咲いていることに気づく

鮮やかさが身を引いて
謙虚な美しさがピンクの花を照らしている

山道をさらに少し上がって
道の果てに着く

そこから山の上を知る

電柱が聳えている
潔い勢いで電柱が聳えている

振り返ったなら

そこには
明かりを灯した街が広がっている

山道を降りる
街明かりに向かって

振り返ったなら
手を繋いで
横に広がった人達

山の人達






青春






砲台の高台

過剰な活劇

活力源が悪

愚鈍な悪力

地図を広げれば

嘘の領土

立てる旗から滴り落ちる悪

連敗の都市計画

堕落の余波

追尾する

追尾される

追尾するを追尾するを追尾するを追尾する愚鈍な魔

滴り落ちる悪

群がり噛み合う利益連敗

個人の異常を指摘する集団の異常

集団と集団の相互堕落の成れの果て

過剰な活劇に組み込まれるダンス

あわれな振り付け

踊らされず

丘にて豊かな青春











島に森

寂しさとして森
寂しさの酒類

寂しさの酒類

最も美酒なのは
銀月酒

いま銀月の下に居る

寂しさ越えて
美酒に酔う





真詩満載






ゆうぐれに

ふと雲

遠くにあって

そして近い

小さな声を満載して

大きな雲

近い








島秋






島秋はレイン
やさしいおとを
畑に広げる

島秋は愛しい人々
畑に昔の
畑にあすの
愛しい人々







真新しい祈り






満ちてくるちから

水平線に乗る島は細い

空と海と島

声を合わせている

あのこきゅうは

祈り

真新しい祈り








静かな歌






水平線上空は


徒歩で列なして


ゆっくり歌いながら徒歩

静かな歌だから

聴いて嬉しい

惑星は繊細だから

静かな歌

惑星は嬉しい

私だって嬉しい





アルカイックスマイル






王に問う
松の如き 王よ
なぜ再び丘に来た ?

椿が呼んだ

その夕空は
アルカイックスマイル






ヌーバニアカラオケ






場末のカラオケ屋台で
今朝歌った
クリスマスソングを
歌ったら
クリスタル音響
街を清らにした
カラオケ屋台古くて
スピーカー
化石となってたんだ





ヌーバニア賛美






オクトウバァレインボゥ
くぐる森の奥にて
賛美せよ
森を賛美せよ
 
ジュピタァから訪れる
滝の飛沫を
ムゥンから訪れる
楽団の怒濤を
賛美せよ

大人気な森を

賛美せよ







真詩帆






太平洋

そこかしこにうるさ型の風

湾にほだされ平静

そっと浜に立つ男

原初口笛で船いっせいに帆を張る






ヌーバニア






ヌーバニアまで

歩きでじゅうぶん

近いに違いない

わすれられてしまった

丘など

たくさんあるから

ゆっくり

歩いていらっしゃい

ヌーバニアは

すぐ

そこにある









真詩静けさ






レイン

木の葉うらに潜んでたバタフライ

レイン上がると

小さな草花へと

移動する

下方にゆらり

移動するバタフライ

美しい

静けさは美しい







真詩冬の船






今宵頂点の星座
悠久の香り

波紋の羽音をたて
たましいの船
ひた走る

きみの
真っ直ぐな歌を
帆に受けて
ひた走る







ハンサム






おまえの

瓶の蓋は

おれが開ける

おまえの瓶の蓋は

おれが開ける

だが 待て

その瓶は

おれの瓶だぞ

しかたない

おれの瓶を

お前にあげよう

ただ

そのラベルは

俺の額に貼ってくれ
ハンサムと書かれた

そのラベルだけは

俺の額に

貼ってくれ






善ます






オクトウバァレイン
降りしきる
キビ畑にて
風を拾って

オクトウバァレインボゥ
架かるところ
速度ます

善なる飛翔

速度ます






真詩人






島は島だ
所有できない
海原は海原だ
所有できない

ほんとうの言葉は
所有できない

常に新しくして
心震わせて

すべてを新しく所有しながら

真詩となって心震わせる







真詩荒野






バタフライになったりブルースになったりツンドラになったりだ
休息の地平線に浅く腰掛け靴紐を結ぶのさ
スティックはコーラの空き缶
荒野はロックンロール







愛を呼ぶ






雨を呼ぶ
雨が来る
身近に

冷たいけど身近に雨が降るとき寂しさが冷やされる

冷えた思い出を持ち運んで傘の内側は少し

少し温い

それを愛と呼ぶ

雨を呼ぶ
雨が来る
愛とともに






真詩存在






笹に盛んに話しかけられ

よいところは

返事を待たないところ

心地よい

リュウチョウ

飛ぶ感覚

心地よい

薄やわらかな挨拶

心地よい

かしこい存在

心地よい









真詩世界






丘で朝まで過ごす丘は静かで
愚かさは静けさに吸い込まれてどこかへ
世界とされるウソセカイはだいぶ以前から異常事態
戦争や災害や不正
残虐な悪魔的心理状況

丘まんなかで上を見上げる
するとまだ
美しい星座は
まだある
不思議なことにまだ美しい星空がある

不思議は普遍だ






リュウジュ






丘まであまぐも親しく降りてきたのだから超越を飼い慣らしながら東北東へ向かって走る
花を抱えて歌にして遠くまで届けたからリュウジュ高く鳴る







越える言葉






5千円の書物
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パタン

我らの言葉は
弁当箱

あのかたがた
あのかたがたの
弁当箱

時を越える
真の言葉は

書物とならない

雨だ風だ緑の舞踏なんかだ

弁当箱に
しがみついて
争ってはならないと言う

雨が風が木々が
言う







小さな場所ほどちからが大きい






白い花たちがそれぞれ小さく風に揺れている

餅を包むのに
使用される大きな葉っぱ風にかすかに揺らぐ

ギンネムの実は毅然として
少宇宙に惑星として成り立っている

オレンジ色の美しい葉っぱが
ダンスを初披露する少女のように
恥ずかしさと誇らしさに舞う

長い年月を
留まることに費やしてきた大きな樹は寄り添う樹たちと競いあいながらも
確実な存在空間を守り続けて立つ

これほどの賢さ
これほどの存在のちからは人類より上である

この
小さな場所が

人類が築き上げた世界より
上質である

ときどき
破壊をなす仕掛けの機械が
がさつな音をこの場所にさえ届けてしまう

この場所に椅子を置き
僕は
座っている

押すちからがある

巨大なちからを
押してくるちからを心地よく感じる







島旅






彼女の鞄の重さ
彼女のはにかむ軽やかさ
日傘を張る力強さ

太平洋は忘れさせ
東シナ海は蘇らせる






誰かいる






海に向かう
誰かいる
たしかに
海ぜんたいに
誰かと誰かと誰かと誰かと誰かが必ずいる
悠久なエネルギー
おだやかな揺らぎ
それらを越えて
ずっと
そこに誰かがいる





喜び真詩






竜の背に居る
両翼はタイヘイヨウヒガシシナカイ

リュウキュウヒコウは
小さな速記詩人
クリスタルクウキの喜び

僕はずっときみの喜び






星とキビ畑






川沿いキビ畑

台風ほとんど来ない
このごろだから
キビすっくとまっすぐ
大きいキビとなった

ギンネムさやにひそむ
幼い新星

それはそっとして
大らかな真実







ほほえむ男






すらりとやぼったく
うたかたな流れ荒くして
新星静かなり
ほほえむ男






八百万世界





たどり着いたとき空腹の予感
そこにリュウキュウオウ樹
その葉っぱにゆだねよう
葉っぱの方向へ潔く行こう
と決心したけれど
リュウキュウオウ樹の葉っぱ
八百万世界を擁して
吾をからかう夕月夜かな




島秋







島バナナ

夕映えて

げらげら揺れる

琉球バード

すんなり飛ぶ

手を上げて秋に挨拶

島はいつだって

ほんらいの自由に

溢れている








尾崎豊のホンタイ






尾崎豊の歌を丘で歌う
そしたら
尾崎豊の歌は
癒やしてくれる

昔、尾崎豊の歌は
とにかく悲しい歌だった

いま
尾崎豊の歌は
自由だと

丘に来て歌って
わかる

尾崎豊の歌は
街歌だった
悲しい街歌だった

いま
尾崎豊の歌は
自由だ

より大きくより自由だ

どこか自然まで来て
歌えばいい

尾崎豊の歌は

大きく自由だ










神秘な領域






ここで祈りは遠くに立っている

地形に添って鳥は声を放射する

なでられたようにハイビスカス揺れる

うねり続けて広がってく地上

批判を束ねて鎮座する電波塔

2段だけの石段上がると神秘な領域

ここで祈りは遠くに立っている







新宇多田ヒカルのホンタイ






宇多田ヒカルのホンタイは宇宙樹だと仮定する。
宇多田ヒカルの歌は微生物だと仮定する。

宇多田ヒカルは「みんなぁ」と、人々に呼びかけるから、みんなぁと呼びかけられた人々は自分が宇多田ヒカルの仲間のような気がしたりする。あるいは、宇多田ヒカルの歌の世界に自分が投影されているような気になる。

宇宙樹と繋がった気になった人々。しかし、宇宙樹は宇宙樹であって、人々は宇宙樹ではない。

宇多田ヒカルは宇多田ヒカルであって、人々は宇多田ヒカルを共有できないし、宇多田ヒカルは人々を代表していない。

広大な空間に広範囲に根を張る宇宙樹。人々の足下にまで伸びる根。けれど根は直接人々と結びついていないし、根は人々を結びつけていない。

微生物が媒介している。微生物は人々に広く分布される。けれど微生物でさえ、個である。個と個の対話が細部に行き渡っている。

同じ歌ではない。それぞれが微生物を介して異なる歌をそれぞれで再構築している。

それでもつたわる共通項はある。その共通項は宇宙樹からもたらされたものではない。その共通項は宇多田ヒカルからもたらされたものではない。共通項はすでにあなたが持っていたものだ。

宇宙樹は、宇多田ヒカルは「みんなぁ」から距離を置いた遠くにいる。微生物が身近なので、歌は身近だ。ユニークな存在は遠くにいる。遠くにいるからユニークなのだ。

ユニークな存在は孤独だ。孤独な存在は宇宙樹だ。孤独なユニークな存在すべてが宇宙樹だ。宇宙樹はいつだって宇宙樹としか対話できない。

宇多田ヒカルが呼びかける「みんなぁ」は宇宙樹そのものである。根を広げ枝葉を広げた宇宙樹が「みんなぁ」と呼びかけるから宇宙樹の外の人々は自分に呼びかけていると勘違いする。宇宙樹は人々の外にいる。宇宙樹は自分の内部にいる宇宙樹に呼びかけ対話している。宇宙樹内部の対話は、微生物を媒介とする必要がない。距離がないのだから。微生物が介在する隙がないのだ。

宇多田ヒカルと対話するならユニークな宇宙樹になればいい。








トロフィー






何年ぶりだろう、ガムを噛んだ。こんちくしょうと言いながらガムを噛んだ。上顎と下顎がそれぞれ別の生物のようにガムを噛む作業を担当しだしたので困惑した。上顎が上司かと問えば、違うと、強く否定する下顎だった。縁の下の力持ち風な風評を欲しがる下顎だった。なのでトロフィーを進呈することとした。銀のトロフィーを「縁の下の力持ちで賞」と称して下顎に進呈したのだった。すると下顎は

「なんだ、ガム包んでた銀紙じゃん」

というお話。





グスク






固い建物の林立

すり抜けて疲れて

たどり着いた

古い場所

古い場所は円い

円い場所に

新しい水が湧く

水が湧く音は円い

円い音をじっと聞く

新しい音を聞いていると

心が立ち上がる

立ち上がった

心にまたがって

ゆるやかに移動する

固い林立を

くぐり抜けて疲れない

新しい移動になって街を

すり抜けながら

歌をくちずさむ

円い歌を歌う








ヌーバス短歌






島ほどの大きさの虹その下に島ありて我その島に立つ








カントリーソング






テンガロンハットで歌う
待ってるから客どもが
うじゃうじゃと
期待してこのカウボーイを
待っている

ゆっくりと春日のように
それじゃ客ども怒る
ギクシャクとコマネチたけし
それじゃ客ども笑っちゃう

牛だ
客どもは牛だ

カウボーイだとしたところで
カウボーイを醸しちゃならん

テンガロンハットで
UFOのように
ふわりとステージへ
UFOがふわりと
してるかの問題じゃない
テンガロンハットは
ふわりとステージへだ

カントリーソング





HOPE






波打ち慣れた誰かのシーツにそよぐ真新しい希望







祝祭ムーン





ほのかなる相互の祝祭ムーン
島を包んでいる昔の島をいま包んでいる灯台を支えている
ほのかなる相互の祝祭ムーン
うなばらにて呼びあう







大きい存在






道のずっと後に夏雲

道のずっと前に夏雲

どちらかは秋雲でしょう

きっと秋でしょう

遠くて近い

親しい存在

大きい存在とは
遠くて近い
親しい存在







美しい夕べ






並んで
夏なのに行儀良く並んで
待って待って
美術館

ありがたがって
芸術家らの絵をありがたがっておがむ

何をありがたがっているのでしょうか

夕べ
すいている場所で
ゆったりと

ギンネムと並ぶ
どんな芸術家より上手な線に感心する

小鳥来て
ギンネム線を重力でつかの間かきかえる

美しい夕べ









待つ



浅瀬に立つ鳥
待つ天涯を支え待つ
強靭な待機
待つことがすでに実りである







たましいを持つ存在を
人という
少ない人だが
じゅうぶんである





ナンヨウスギ






石段を

下り下界の重量を取り戻す

教えとは

静寂の声

静寂の声降りそそぐナンヨウスギの下を過ぎ行く





天照る心






ところどころに
広場あり
立ち止まり
木々を見上げる
空を見上げる






ヌーバス短歌 花






花をはるのは
とても疲れる
とても
疲れはするが
また花をはる





美しい笑顔






異界から

異界へ向かう

途中の野の

淡き光は

美しい笑顔

寂し野を

ゆくわれに

寂しさを

与えながらも

野を

照らすなり





デイゴ広場






オオゴマダラが設計図を広げ
銀色鳩が論説を展開する
デイゴ広場




縄文人






畑の始まる辺りに
古い佇まいの甕が置かれている
縄文人が置いたのか?
甕が縄文人を騙して
畑の始まる辺りに運ばせたとしたら
ずいぶん変な甕じゃないか?

畑を渡る鳥の声は
いつもの声なのでしょう




春のこと






春のことだ
丘には
草蝉がいた
春に出てくる小さな蝉
草蝉を包む
手のひらで包んで
ひらくと草蝉は飛んでいった
草蝉には触れない
自由を包んで自由に触れずに自由を飛ばす
そのようにしたはずだ
春のことだ









気楽






戻ればどうだ
進むなんて
バカげてるとき
戻ったらどうだ
ばか騒ぎに
心底疲れたら
黙ったらどうだ
捜し疲れたら
戻ったらどうだ
作り疲れたら
ほっといて戻ったらどうだ

それは地球の利益になるから
人の利益になる

システムじゃない
人として気軽に戻ったらどうだ




祈りとバス






バスでは後ろの席に座る
バスの後ろの席よりずっと
ずっと後ろに夕日
ふところ深く関わっている
美は
祈りを加速させる





誠意






アブの誠意で夕となり

ギンネム賛歌を謳歌する

惑星規模ったって

今ちょうどいいよ

今ちょうどいいよ
キスには

誠意集いて静かに

美しさは

すべて永遠だ








デイゴと世界






デイゴは世界を掴んだのかと

疑問を携え行ったのだった

デイゴは世界をすでに掴んでいて、世界を逃がそうとしているのかと

疑問を携え行ったのだった

デイゴは上空で世界を掴んだのかとか、デイゴは地中で世界を掴んだのかとか疑問を携え行ったのだった

デイゴは答えない





サファイア




過剰なサファイアを投げ
余剰な余暇をポケットで鳴らす
走り舞いながら鳴らす






あさって






昨日から今日から
あさってから

逃げてきたのさ
プリリィボーイ

やつらに騙されるな
やつらの嘘「逃げるな、ドリームをゲットしろ」
おまえに届く嘘に騙されるな

逃げるんだプリリィボーイ

北の脅威から南の恐怖から
あさっての嘘から

逃げるんだプリリィボーイ

騙されるなプリリィボーイ

餌のドリームから

逃げるんだプリリィボーイ

騙されるなプリリィボーイ





海畑






畑には畝がある
波である
畝は波である

海原じゃない
海畑なのだ

命は海から来た

畑で育む

だから
畑は陸の海畑だ

鍬を海畑にふる

オールでボートが進むように

畑に鍬をふる
そして進む






ギター座






ギターを持って砂浜
寂しい星空なんて
冗談じゃない
いつだって満天は
おてんばなのさ
朝まで
とりあえず歌う
潮風とギターは
仲良しじゃないが
俺は取り持つ
音楽は
仲良しだから
朝まで
星座に腰かけて音楽





台風の髭







台風は遠い、だが、台風の髭が伸びて沖縄に触れている

草っぱらから小っこい鳥ら、いっぱい飛び立っていそがしがってたのは

レインの少し前だった

米軍ヘリッコップター図々しい態度でがさつに行った

のはレインの少し前だった

パッドだかタブレットだかから欧米音楽だから

選曲はおいらだっただろう

自然な辺りから島バナナ最新ダンス








New Nuubas 第10話






寝椅子に寝ていたらしい

逆さに寝ていたらしい

天井に寝椅子があって、ぶら下がって寝ていたらしい

健康法よと女の子が言った。弟のフォタラは部屋に居ない。放牧してある牛に餌をやっているという

すると餌は?

旅の人。するどいわね。弟フォタラの頭に栽培されている紅茶。それこそ牛の餌。ミルクティーにぴったりのミルクは、紅茶を餌とした牛から得られるのよ
で、餌として、ミルクティーの食材として
弟フォタラは頭栽培紅茶を使うのだけど、使えば使うほど弟フォタラは頭良くなっている
なあぜ?

悪いけど、逆さでは謎を解けない。それより
牛に餌を与えているってことは朝?
僕はひとばん逆さで寝てた?

クスッと女の子は笑って

ふたばんよ旅の人






New Nuubas 第9話






温かいミルクティー配られそれぞれくつろいで

ところで女の子には弟あり

ミルクティーは弟が入れたの
弟はフォタラ
フォタラは牛を放し飼いしていて新鮮な牛乳を入手して
紅茶は頭で栽培してて
だからほら

なるほど
フォタラの頭は茶髪であった

シートは
続々シートあたりに座り込んで

なるイス
フォタラくんのミルクティー
すごくおいしいッイス

すると小太りフォタラくん

ふぉったらことねぇす寝椅子






夕べ畑に立つ






夕べ

畑に立つ

作物波打つ畑に立つ

乗りこなすように

手綱操るように

夕べ畑に立つ





浦島太郎とは






浦島太郎の

亀は

何だったのか

当然
詩人ヌーバスは知っている

知らなければ詩人じゃない

亀とは

瓶である 当然である

身近なのだ瓶は
瓶が先で当然だ

瓶はそして通路である
当然だ

浦島太郎さんは当然、亀に乗らない。当然だ。亀さんに乗るなんて失礼だろ。それさえ知らないなら詩人じゃない。当然だ

浦島太郎さんは通路としての瓶に入ったのだ。瓶は通路である。漬け物が発酵して微生物がgoodなjobをする。それは通路をつかった成果だ。そんなことさえ知らないなら詩人じゃない

沖縄には
ニライカナイとうがある

海のかなたの理想郷

そこに亀で行けるわけない

竜宮城に亀で行けるわけない

ニライカナイや竜宮城は
諸君らの世にない
かといって、あの世じゃない

諸君
ニライカナイや竜宮城は
この世なのである

そこで諸君は
この世なのか、同じこの世にニライカナイや竜宮城があるんだ

などと
間違う。諸君は間違っている

諸君
諸君らのいう「この世」は実際は「あの世」である

諸君らは「あの世」にいるのだが、諸君らは「この世」にいると信じたいので
様々な変異が立ち上がっているのである

浦島太郎さんは
変異が立ち上がる前の
あの世にいたのだ

あの世が不変であったあの懐かしい頃である

浦島太郎さんは不変で歳などなかった。通路としての瓶に入って浦島太郎さんは「この世」に行ったのである
キャバクラ等で接待を受け帰ったのである
シャバの食事は最高だったので、弁当にして「あの世」に持って帰った。玉手箱というあの弁当箱であった。浦島太郎さんは「あの世」で「この世」の食事を食ったのだ

食事の活性酸素によって浦島太郎さんは老けたのだった

瓶は通路なので
「この世」と「あの世」に瓶はある

「あの世」に活性酸素食事が行ったので「あの世」は不変ではないとなった
「この世」に来るとき浦島太郎さんは「あの世」の弁当を持って来たので「この世」に発酵食品がもたらされ不変となった

浦島太郎さんのストーリーは
異界と異界の逆転ストーリーであり、このような逆転ストーリーは常にあると

いうことだ諸君






山の端に留まる言葉






山の端に留まる言葉
荒畑に留まる島バナナ
夕間近を移動してきて
囀ずる小鳥
寂しさは船のようだ







ポールサイモンのホンタイ






ポールサイモンのホンタイは爆笑問題の田中だ
などと書くはずないじゃないか

ポールサイモンのホンタイは
田舎庭だ

鶏飛び交う田舎庭だ

だからポールサイモンの音楽に鶏チックなお囃子は常に鳴っている

小川のせせらぎだって常に聞こえる

遠くにお祭りを置いてある

都会は
年中
お祭りを企てやがる

お祭りは遠くに置くべきである
遠くに置いてあるお祭りに会いにいくべくケの日を過ごすのである
だからこそバックグラウンドで楽しいお祭り音楽が立ち上がり続けるのである

立ち上がり続けるお祭りの象徴として
げんきな鶏が走り飛び交うのである

都会じゃ年中お祭りを企て過ぎて
お祭り状態がケの日となってしまった
踊り疲れてヘベレケである

ポールサイモンの田舎庭は
ワールドワイドである

ポールサイモンの田舎庭は
大航海の小規模船団である





存在






ここに
充満して森に氷河に
存在は充満している
怪奇な都市に充満するのは叫び
問いにさえならない叫び
叫びにさえならない叫び
ここに充満する存在まで届かない
叫びは届かない







最初の夏







最初の夏だった

レポートを

唸りながら書いた

それまでダンスを

頼んだことはなかった

天井高い丘の家で

ブックカバーはヌードだった

最初の夏だった

誰の羽だったかに抱かれ

ダンスを覚えた

最初の夏だった







初心







誰より多く曲がってきた
誰より多く飛んできた
けれどいつだってビギナーを醸す
最初の客だったんだ
最後の旅人だったんだ
海岸沿いに反逆を敷いて
砂浜を温存していたんだ
ずっと







りゅうちぇるさんのホンタイ





りゅうちぇる

沖縄県人と思ってる?

りゅうちぇるは
ちぇるちぇるランドというよりチュウチュウランド出身である

沖縄といったて
南山(ナンザン)北山(ホクザン)中山(チュウザン)がある
りゅうちぇるは中山の王家なので琉球チュウチュウランド王子であっている

りゅうちぇるは
比嘉(ヒガ)である
ビートルズが
ヒガ🎵 ヒガ🎵
と歌ったヒガだから
りゅうちぇるは
長髪のバスケットポーラーだったのだ

長髪を揺らしてダンクなシュートでヒガ🎵
だったのだ
そのテールが竜の尻尾だったところからヒガ🎵
だったのか



ホンタイシリーズは
フィクションであります
御容赦ください

なお
本作品においてはホンタイに言及してをりませんが
他意は御座いません








フェンスの上空





フェンスの上空

上空の果実が

虹だとしたら

虹はきっと

にがいにがい味がする







偶然






海上を借りてビル群
適宜に配られるゲーム
育成ごっこ仲良し風同席
攻略で手なずけて
順路を立てるてはずなのだが
特急偶然おせっかい
各駅に停車する特急偶然
すでにニュートラルなので
普段着通り





世界樹





古い挨拶のところを
天空船来航の港方向へと曲がり
巨大な羽の海鳥飛ぶ下を
しばらく進むと
静寂の森
森に世界樹
その枝に幼いレイオウワシがいるから
対話が純粋に交わされ
楽しさは静けさを乱さず
豊穣な世界







古舘伊知郎さんのホンタイ







古舘伊知郎さんのホンタイはオデン屋である
昔、古舘伊知郎さんは
佐野元春さんを
「誰かに紹介しないで
ひとりで通いたいオデン屋」
と言った
実際はラーメン屋と言ったはずだが、オデン屋としとく

さて、古舘伊知郎さんのホンタイは
万華鏡である
先程、オデン屋と書いたが
オデン屋とラーメン屋と
ごっちゃにして
それを解きほぐしながらさらに展開していく
それこそ古舘伊知郎さんのトークであり
小難しい表現を多様しながら結局華やかなアホらしささえ香り立つ

プラネタリウムとは違う

プラネタリウムは測量された過去である

古舘伊知郎トークは
バック・トゥ・ザ・フューチャーな万華鏡である








走る信頼






走る信頼

砂漠を駆けて鈍獣の谷へ

諭せはしない

鈍獣の子らに義務説教

砂漠を駆けて街へ

嘘だと遠くから言って

嘘ドームに近づき真実拾って

砂漠を駆けて

丘へ

制御できない真実が聳える

麓へ











恋について説教した
昔気質のガラパゴス諸島のように順序だてて語った
あほのようだと思いながらだ
髭が多少伸びたから
あごをかいて
あくびして
御詫びしたのだ
それから古い城に帰って
恋に詳しい分厚い書物を
秤に乗せた
書物は少し重さを増していました









新世界






夕べを過ごす

立派な実りと一緒に

太古の地層に肩を抱かれ

階段に肩の荷を預けて

夕べを過ごす

すでに来ている

新世界と語り合う







松本人志氏のホンタイ






ホンタイは刻々と変化してをるそこでじゃ
松本人志氏ホンタイ2じゃて

松本人志氏代表作と評判の梯子酒にて
松本人志氏は
ジャケットを
はだけてをられる

松本人志氏はジャケットを
ランドセル状態に
してをられる

ランドセル状態なジャケット
それこそ松本人志氏ホンタイ2な訳じゃろいな

大衆はジャケットはジャケットじゃ
松本人志氏はジャケットをはだけて背中で粋なランドセル状態となされる

軽いジャケットを
重々しく扱うをよしとせむ松本人志氏であらせられる

かといって、ジャケットをぞんざいに脱ぐなど下品だと松本人志氏は仰ってをられる

そこでジャケットは松本人志氏の背中でランドセル状態となりて宮殿を成すに至った訳じゃろいな

ジャケットポケットに数千万円のモノホン万札を収納せし松本人志氏故の荒業じゃろいな

背中でランドセル状態のジャケットポケットにて数千万円は厳かな年輪を醸成する

そのような発酵技術にて上質な笑いは醸造される



ホンタイシリーズは
フィクションであります
御容赦ください






南部音楽






自動ドアから異国情緒やって来てひとしきり気候を説く
座を立ってジャケットを羽ばたかせ街を音符にしながら
南部に向かった








どこにだって居る






どこに居るんだ
どこにだって居るんだ
木々のようで
歌のようで
恥ずかしがり屋の
島のようなんだ









radio






せっぱ

せっぱな歌

ガナル radio

しずまれ

しずまれナンジラ

まだ本番前だぞ







探している








では何かを探すことはない



では探している
賑やかさのどこかに
静かな賑やかさを
探している

そこにいる人を
探している






ラモスさんのホンタイ






ラモスさんのホンタイは
設計者だ
現場な設計者だ
司令塔(指令塔?)じゃない

ラモスさんのプレーを観戦したことがある
結構な近さでだ

でだ

ラモスさんは
ピッチを移動するが
ラモスさんホンタイは
設計室にいる

ラモスさんはピッチ上で
設計室をまとって移動する

ヌーバスは
それを見る
わかるのだ
くっきりと設計室が
ピッチ上に立ち現れ
大きさを変えながら移動する

比喩じゃない
実際にそこにある現象だ

立案されるアイデアは
たちまち設計図として設計室に立体的に描かれる

ひとつじゃない
ラモス設計者の立案は同時に数十種類立ち現れる

ヌーバスでさえ
すべてのアイデアを
捉えることはできない

その試合は国際試合で
後に監督となるスーパースターや日本代表など
すごい選手だらけ

だらけだったけど

ラモス設計者と
その他だった

ヌーバスはその立体的な設計図を楽しんだ

ラモス設計者の
設計図どおりにプレーを進行できるほど技術力の高い選手は
当時いなかった
今だっていないだろう



ホンタイシリーズはフィクションであります
御容赦ください








アンテナやろう






アンテナ
街やら山やら
アンテナ
休憩するべき
ところでアンテナ
会社員
休憩なのにスマホを
アンテナ
私は
良いか悪いか
アンテナで判断仰ぐ
地獄底から返信
アンテナで受信
高きところにアンテナ
地獄底から発信
アンテナ
ばかりじゃ
休憩できないぜ
あのやろう








大樹は静か






大樹が撒いた枯葉を踏んで歩くと、音がする
その音は道の音であり、枯葉の音であり、散歩の音だけど
季節の音ではないと思う
靴の音ではないと思う
そして
大樹は静か







仲間由紀恵さんのホンタイ






仲間由紀恵さんのホンタイは
ガジュマルやいびん

仲間由紀恵さんは
いちはやくブログやってました
「てーげー日記」やってました

てーげー
は沖縄方言で
てきとう
よい加減ってこと

それに影響されてヌーバスは
てーげーブログやってるのではありません

沖縄の
浦添市
パイプラインていう
道路があって
すこし裏に
公園があります
その横の小さな道路をヌーバスは通ります
仲間由紀恵さんが昔遊んでいた公園の横だから通るのではありません
ヌーバスは仲間由紀恵ファンではありません
偶然通り道なだけです

そこの公園に木があって、仲間由紀恵さんは昔そこで木登りをしていました

仲間由紀恵ファンじゃないのにそれらのことを知ってるのは偶然です
偶然知っただけです

けれど,よく通る公園の横ですが、その公園に入るほどヌーバスは暇ではありません
公園の木がガジュマルなのかどうか確認する気だっていっさいありません

けれどきっと
ガジュマルでしょう



てーげーホンタイシリーズ
御容赦ください





New Nuubas 第8話






巨大な扉を引いて巨大な扉といっしょに倒れることによって扉に押されて地下の隠し扉開いて地下室に入ると

そういう高級なトリックルームだったのだ

それを知らずに背中から地下室に落下した。シートが背中を守ったのだ。クルマのシートはすごくヒーローなおかただったのだ

じゃあシートの背中は誰が守ったのか。後部シートが守ったのだ。じゃあ後部シートの背中は誰が守ったのか。続後部シートが守ったのだ。その続後部シートの背中は

とか言ってると

可愛らしい女の子
ようこそいらっしゃいました

くるっと回転した僕。背中のシートが勝手に女の子に向いたのであった

シートが女の子に
シートのヒトシといいます。仲良くしてください

可憐な女の子はもてなれているらしく

シートのヒトシさんと仲良く?それとも
シートのヒトシさんのご主人様と仲良くってこと?
ご主人様シャイなかたで背中向けてしまいましたが
とにっこり

シートに名があるなんて知らなかったしシートが喋るなんて知らなかった

するとシート
こんな奴ご主人様じゃありません





桜井和寿のホンタイ






スケッチブックだったのかノートだったのか忘れた。彼は作詞ノートをずっと持っていた。けれど,そこに彼が新しい詩を書き加える現場に僕は遭遇しなかった。彼の字はほんとに下手だった。
僕自身、字は下手で、下手さ加減に自信があったのだが、彼には及ばない。彼の詩は字の下手さを考慮して採点して……
高得点な詩ではなかった
新しいテクニックなどない
独特なクレイジーさだってない
素直な詩だった
そこで「素直でいい詩だ。俺にはこんな素直な詩書けない」と言ったと思う。
万人受けする彼のまっすぐな執着心は、だから、彼の素である。
まっすぐな執着心などと書いたら、彼のファンは怒るだろうか。
だが、なまの桜井は生の危ういまっすぐな執着心を隠すことのできない子であった。
彼にビール瓶を投げつけられたことがあった。僕に当たらないように投げたのか、無心で投げたのかわからない。
けれど,まっすぐなビール瓶の軌道は美しかったと思う。

桜井和寿のホンタイは
ビール瓶の軌道だ




ホンタイシリーズはフィクションであります
御容赦ください






ヌーバス短歌







最寄り駅に忘れた
最寄り星から届けられた
インスピレーション









どっしり







若夏の大きな雲

どっしり西へ行く

思っているより

大きな存在は

近くて

思っているより

大きな存在は

たくさんいる











New Nuubas 第7話






巨大な扉は押せど押せど動かず。さらに押せど押せど動かず。ならばと引いた。すると巨大な扉が倒れてきたのだ

ゆっくりと倒れてきたのだから、横っ飛びで避けることはできたはずだがなぜか動けず巨大な扉に接した状態で巨大な扉といっしょに仰向けで倒れてゆくのであった

地響きがして地響きを聞いている自分がいるのだから無事なのだろうと思うことにしたらやはり無事だった

土煙にむせびながら辺りを確認する。どうやら部屋のようであった

小さな住宅に、住宅より巨大な扉など

変だったじゃないか

トリックだったのだ
トリックスターによるトリックだったのだ





豊かな航路






樹木の衛星となってバタフライ

太陽から派生したような航路

僕らのストーリーを

読んでいる放課後の校舎

異星から異星まで

通学路

静かな賑やかさ

豊かな航路






宇宙人






宇宙人らしきヤカラに
「世間知らず」と
批判されて
怯んじゃならねえ
あいつら宇宙を知ってる宇宙人じゃねえよ
あいつらただの
異星人だかんな







板野友美さんのホンタイ







板野友美のホンタイといえば
やっぱ

カゴだ
スーパーのカゴを
無造作に上からとる
それが板野友美のホンタイ

そりゃあ
誰だって
スーパーのカゴは
上から使う

だから板野友美は
普通の人だ

ヌーバスは
スーパーのカゴを
最低層から発掘して使う

まず、カゴのタワーを
ごっそりとって
それを頭からかぶる
スーパーカゴタワーマンとなる


最低層のピュアなカゴをさげてスーパーを闊歩する

しないよ





シークレット



委ねられて飛ぶ

委ねられ待つ

触れ合う

委ねられた道となって

静かに触れ合う

委ねられた世界となって

渡す

すべてシークレット












首里城を作った大工だった

誇らしく語ったんだ

ひっそりと
誇らしく語ったんだ

水平線と
まっすぐな雲
対話する

それらを国という




New Nuubas 第6話






夕餉の匂いする小さな家だった。すんません。ひとばんだけお宿を貸してください

小さな家なのにドアは大きくて
あのパンジャダドだって立派な姿勢をもって潜れるであろう

というより、これはパンジャダドの住宅なのだろうか。入りて小さくなりしパンジャダドという諺だってあるのだから、小さな家に巨大な扉はパンジャダドの住宅だったところで不思議じゃない

パンジャダドだったらどうしよう。いくら背中をシートが守ってくれるとしたところであの巨大なパンジャダドに立ち向かえるだろうか

はたと気づいた。さっさとこの小さな家に入ってしまえばいいのだ。入りて小さくなりしパンジャダドなのだから、パンジャダドより先だろうと後だろうととにかく家に入ってしまえば、小さなパンジャダドとなっている

とにかく家よりずっと巨大な扉から入る僕なのだった










モクマオウのふところ深く花ありて善なる者はひっそりと来る









トーク





トークを共有することはできない
トークは
ひとりごとである

テレビで相手のトークを
共有しようと構えて
寒く進行するMC
ほとんどそれである

それぞれのゲストは
それぞれのワールドの王であり、それぞれの国語を使ってトークする
テレビゲストとして招かれるほどの人は王国の王である

トークを共有しようとするMCは失礼である

さんまはすごい
共有しようとしない
さんまは
ゲストの話に対して
必ず「うん 知ってるよ」
と返す

さんまとして知ってると言っているのであり、ゲストを理解してトークを共有しようなどと思わない
寒い進行とならない

ヌーバスは
ゲストだけでトークする
真のトーク番組をと
言う

ひとりごとトーク番組をと
言う






夏夕べ



キンバト待ってた夏夕べ

キンバト来なかったけど

他の鳥達の

さざ波のような移動

ゆったりとした上空

まったりとした海原

夏夕べ





New Nuubas 第5話






まだ開通していないのだが、新しい道路はすでに小さな住宅へ誘う蛍火となっていた

竹林は明日行くとして、今宵ひとばん宿をと

そこら辺りにクルマを駐車して、小さな住宅へと新しい道路を徒歩で下る

クルマのシートは背中に鎮座している。僕の背後はシートに任せるべきだろ

背中のシート重いので、自然と僕の歩行は、威張屋のようにふんぞり返っている。下り坂だから、ふんぞり返った歩行はお New なバランスであった







New Nuubas 第4話






あさっての方へと

けれど早
夕暮れとなりにけり

あさっての方はどこだろう


新しい道路に入った。まだ開通していない。けれど僕はいつだって開通していない新しい道路にはいることができた

入り口は狭いけれどいつだって僕に入り口は用意される

なぜだろう

たぶん僕は
できの悪いシステムに収まらない人々を忘れないからだろう

できの悪いシステムをとっくの昔に旅立った人々をいつだって覚えているからだろう

それでいながら
できの悪いくだらない下品なシステムを旅する

無数の僕自身さえ忘れないからだろう

前方に巨大な寄宿舎
あかり灯して聳える

カーラジオから
やさしく大きなラブソング






New Nuubas 第3話






竹林 竹林 竹林♪

竹林 竹林 竹林♪

と竹林にむかう

ちくりん ちくりん

と竹林にむかっていたら

ちくわ ちくわと

竹輪屋に着いた

大将
ちくわやってのは
豆腐屋?蒲鉾屋

こんちくしょう竹輪屋は竹輪屋だってんでぇへんちくりん

ちくわいっときの恥ってんで

大将
竹林知らんかね

みょうちくりんなこと尋ねなさるお方だ。竹林ならあさっての方だぜい

ってんで
あさっての方へ行きます






New Nuubas 第2話






で、スーパーに入った。けどすぐにスーパーを出る。カゴだカゴを忘れてしまった

クルマに戻ってスタート。家に引き返す

スーパー所有のカゴ
恐ろしい
スーパーが用意したカゴの汚さったら恐ろしい

食品さえ入れるカゴ
カゴはやっぱりマイカゴでしょ

しまった

マイカゴは常に使い捨てだった

家に引き返したところでマイカゴはない。となったら

マイカゴを作るしかない

マイカゴは竹を使用する

よっしゃと竹林へむかう







New Nuubas 第1話






隣り合わせでお互いに背を合わせ寂しい寂しいと言って

滑稽である

スーパーの駐車場の奥でそう思いながらシートと背中合わせ

いや、シートは背中じゃないのだろう

どの駐車場だろと
絶対クルマを奥に置く

いや、シートが背中かどうかそれより、シートと背中合わせで運転をしているとの自覚は大事だ

駐車場の奥は駐車場の背中なのかそれより、駐車場と背中合わせで奥に居るとの自覚を大事にしているのだ

運転をしているときシートと背中合わせであれば、シートに背後を頼んでいるのだから運転する僕は前方に集中できる

いや、嘘だった

シートなんかに後方任せられるかってんだ





真詩 星座






回転の星座掲げて寂しさは森そのものとなりにけるかも







サンシンの夕べ





島歌の夕べ

ガジュマルの枝がステージ

サンシンの音は雲海を越え

流界の頂の家に届く

「鳳凰の羽ばたきのように」

小さな声は

自由な荒波






ワールド






パラレルをひるがえしつつ飛ぶ蝶のせつなせつなにワールド生るる







真詩 4



【草蝉】


南城市の

裏の丘に

草蝉

その蝉はとても
小さい

ある日

草蝉を

両手で
包んだ

持ち帰ろうかと


しかし両手を開いた

草蝉は飛んだ


僕は

海へと続く坂道を降りた



あの日

僕は

飛翔という
みやげを


持って帰ったんだ





【今のところ】

息を潜めて

うかがってるだけかい

だとしたら

今のところ




正直なのは




ニワトリだけだ







たすけてぇぇぇぇぇ





【マジック】


最初、月の光だけかと思ったよ

ふと、たどり着いた真夜に立ちはだかっていたのは

山岳会の小屋だ
沖縄に山岳会なるものが存在していることを初めてその真夜に知ったのだ

ギンネムが両側から押し寄せているので、小屋までの道は細い

月の光のマジックによって小屋へと導かれたと確信した

なんせ不思議なことなど毎日起きているのだから、素早く出来事の本質を独断で確信する習慣が出来上がっているのだ
小屋だからとて、気安くドアを開けて入る訳にはいかない。住宅街から程近いキビ畑のまんなかあたりなのだから

小屋を避けて歩を進める

すると、ぽっかりと円形の広場が現れた。草が短く刈り込まれている

何の目的に使われる広場が、検討もつかない。ところを、即、奇妙な儀式に使用される広場だと確信する

月の光が、まんまるな広場に集まっている
いや、月の光だけじゃない
あっちこっちから逃げてきた誰かの涙の光や、誰かの笑顔の光だのが集まっていると確信する
ことによると太陽の光さえきてると、思ったのだが、月の光はもともと太陽光の反射なんだと確信を新たにしたのだった

まんまるな光の広場で、おもむろにいなり寿司を食べた

いつも持ち歩いてるはずがない

その真夜だけなぜかコンビニのいなり寿司を一個持っていたのだ

真夜にまんまるな光の広場でいなり寿司を食べた





真詩 3



【静寂の器】


降りてくる

言葉

受け止める最初の器は小さく

高い峰に置かれている

溢れて流れて

大海に集う頃

忘れ去られた

意味が

帰路をたどり

上空へ

雲となり

待機する

常に

言葉を

吟味しているのは

小さく気高き

器であり

それが

個人である

あなたは

個人として

静かでなければならない

静寂の

峰にて

きみを待つ





【モクマオウ】

雨のように綴られた認識にスタンプを押し付けるのを

今すぐ止めなさい

すでにして
色褪せている

思わせ振りな
スタンプを

馬の繋がれていた
モクマオウの下に
置きなさい

もうすでに

乱舞する歓声も
量座する拍手も

静寂に吸い込まれ
安らぎを得ている

モクマオウの

繊細な輪郭が

縺れながら

時間を修復している
新しい時間の

流れのほとりで

きみを待つ





【帰る】


帰りついた場所


からさらに


どこかに帰ろうとすることはないか


俺はある





【進化】


適当な


天体にでも


乗せとけば


しばらく執着するだ ろう


ぐらいの
いい加減さで


設定されている


かもしれないぜ


生物の進化なんて





【ほんとうの言葉】





自動販売機に
コインを入れる

落下して
音ひびく

その音は
コインと自動販売機の

双方の音

ではなく

俺の音だ

だから

俺が
遠吠えで
聞かせる


俺の声は

君の

たましいだ



御覧

誰かが

いつか
解き放った

声の

ようにして

雲が
漂っているよ

アーティストに頼ってばかりいないで


君のほんとうの言葉を
解き放とう


あの

雲の下で

君を待つ









バナナ飛行機






飛行機が

そこらじゅうに

落ちている

ひとところなんて
山のように
落ちた飛行機が
積み重なってる

この小さな島に
なんでこんなに飛行機落ちてるか
誰も気にしない


飛行機を浜に引きずってゆく

飛行機を丸めたり伸ばしたりして

舟を作る

だいたい
翼のところが加工しやすい

バナナのような形の舟が出来上がったころには夜

バナナのような月の下をバナナのような舟が沖へ

海の底は
月明かりで透き通っている

時々
人魚とかが素早く通りすぎてゆくが

気にしない

どんどん沖へ









ベランダ






月の光は

昔の祈り

昔の祈りは

未来の光

ベランダに
おいでよ

洗濯物に頭撫でられながら

おいでよ

洗濯したてだからひんやりするけど

月の光で

暖まりなよ

月の光を浴びて

背伸びして

もっと近く

もっと

近くまで







真詩 2



【旅愁島】


ノスタルジーの列なりに

幽体を百万ほど置いて

階段は積もる寂しさ

常に凡てを抱いて

常にバグを遠ざけて

フリーなノスタルジーを

遊ばせながら旅





【ジャラリ】


ジャラリ ジャラリ と

誠実どもが敷設する

くだらない掟





【南島】


ガジュマルの挨拶はいつも近くから

浜の近くから

水平線の近くから

机の近くから

愛はいつも近くにいて

歌っている





【祈る丘】


たくさんの人々が
パンケーキの
盛りすぎたシロップのように
甘い幻想のパレードに乗り
丘を下りた
祈るのは
丘に残るとの決意ゆえ
最初の門の丘に居て
祈りつづける
それが僕の歌





【ゴリラ】


舞い戻って「楽しく」

有機物をがさつな入れ物で

囲って「楽しく」「今を」
「今を楽しく」
愚かなすり替えなりすまし
「楽しく」

ゴリラ以下の知性
ゴリラ以下の心

愚かな繰り返し「楽しく」「今を楽しく」「楽しく」「今を楽しく」

ゴリラ以下の知性
ゴリラ以下の心

そどむ そどむ