万物屋






万物屋という店を開けたのは

早朝の風でした

風が店の扉を開けたのです

あれだけ
力自慢の男達が入れ替わり立ち替わり訪れて
万物屋の扉を開けようと長年挑戦し続けたというのに

あっさり開けたのは爽やかな風だったのです

万物屋のなかに人々は入りました

秘められた品々が陳列されているはずの扉の向こう側は

荒野でした

荒野の真っ只中で途方に暮れる人々

振り返ると

扉は閉まっていたということです

扉に書かれた

店の名前は

万物屋