男新風航路






荒ぶる贅沢を選択せずやわらかな過激を夕きび畑であおる

政治とバケツを蹴飛ばしてスイング

スカイにことごとくを託すなど軽率な計画

計画はいつだってダサい
下されたお言葉なんてクズ

数なんてクズの数
クズ集合はいつだってクズの集合それだけ

朝になってぶり返さず
さわやかにふてぶてしく
新たな男だて帆を立て新風航路






吟味する渚






誰と誰が会話しているのか?ほんとうに会話なのか?吟味する渚

「何世紀?言葉を聞いたことがない」と
古木が言う

「何年?歌を聞いたことがない」と
マイクロフォンが言う

「何世紀?物語をのせたことがない」と
紙が言う

「何億年?抱かれたことがない」と宇宙が言う






真詩 詩人の口笛






珊瑚の島で今生まれた
生まれたての歌は
何千年も前に人魚が
歌った歌

何千年も前に人魚が
歌った歌を
猫が振り返る

竹林細い道

猫を飛び越えて
その先へ

すでに遺跡な街
クリームのような喧騒

その先へ

誰も住んでいない
地球

誰も住んでいない地球をしばらく抱えて

その先へ

詩人の口笛






真詩 大樹




大樹の傍を散歩道

大樹が撒いた枯葉を踏んで歩くと、音がする

その音は道の音であり、枯葉の音、そして散歩の音

秋の音じゃないと思う

街の音じゃない、靴の音じゃないと思う

そして

静かな大樹





真詩 旅情






南国の空港から
解き放たれて

上昇の不安に
髪かき上げる

雲の質感を

身近に感じる

安定の旅情に
あなたを思う

海の哀しみ
旅の喜びを
打ち消そうと
するけど

哀しみを
空にならば
解き放つことが
できる

向かうところに
会うべき人はいる






言霊のスピード






この島の上空に
戦闘機の音広がるとき

美しいものは
ものすごいスピードで
どこかに行ってしまう

美しいものが
もう
この島にないと
気づいたなら

美しいものたちに
追いつけるほどの
スピードを
身につけることだ

それが

祈りである





受け継ぐ者




丘の祈りは樹木の天辺にとどまるほんの数千年前の彼の悲しみを風のなかに聞く

受け継ぐ者は絶えず祈りつつ旅する者である





真詩 公園






公園にて

チープでディープな
昼食

沖縄といえど

この季節

公園寒い

真詩など浮かばず

ただ寒い




詩人の娯楽






夕風の歌

それは
詩人の娯楽

包むのが
そらなら

そらを包むのは
詩人





健全な本棚






高級な居住区で弛まないエクササイズかい?
省エネはどうなった?

朝風呂かい
おしゃれに水を何千リットル
週に何億リットル使う?

おしゃれとしての
環境快適で
自然保護運動かい

欲望は健全の記しかい

地球は

おとなしいペットじゃないぜ

黙っちゃいないぜ






天の川まで続く石段






だれも使わない

石段

草が生い茂る

石段

きよらかな
星と星とが

今宵
逢瀬のために

降りてくる

石段

見上げれば
天の川まで

続く石段






中城






中城湾に
不気味な建造物

どっかりと
征服種族の巨城のような建造物

もはや
中城湾は
不気味なエイリアンの基地と化した

その沖を

オレンジ色の大きな貨物船

オレンジ色の貨物船が真っ黒な丸い煙を中城湾の沖に置いて

ゆっくり遠ざかってゆく

雨が降っている

雨が降るこの島と海と空は

いったい
どこに来てしまったのだろうか





贅沢な夕空






空の軍勢は戦の軍勢ではない

空の軍勢は詩人の軍勢だ

美しさと壮麗さ
内包するものがたりの
スケール

展開の巧みさ
を織り成す軍勢である

時を越え
空間を越えて

最高の詩人達の

最高の言葉達の

織り成す
贅沢な夕空





アテナ






テレビでは
真剣CM

裏通りでは
冗談乾杯

真実推進装置の
因果関係

及ばない無邪気な
路地裏に

咲き誇るは
アテナの歌

常春
花の台





マッパムンディ






上げ底
フルーツの
ようなトーク

振る舞われて

退散 退散
袖を振って
広げたマッパムンディ

裸馬に裸で乗って
旗揚げ族の領地に
新風法螺吹き込んで
マッタリコウモリの助言を
お洒落やさおとこに託して

お誂え向きににんまりと
おジョーク上手な小走りお尻

エトセトラポット暖か音楽

トンチャラ

マッパラリン





畑にはエネルギー






畑にはエネルギー

降り注ぐから

休憩をする

水を補給する

休憩中は

くだらんことを

考えてしまう

「ほんとうの休憩とは 畑仕事の休憩なのではないか」

このような

こと考える

ようでは

ほんとうの休憩

じゃないな






畑にてゆっくり






案山子のように

畑に ぼへ~と
突っ立ってる
時がある

それから
少し早い動作で
畑に水を撒く

それから

少しゆっくり

背伸びする





夕暮れ畑






夕暮れてきたときに
何が最も寂しいのか

畑に居て
夕暮れに寂しい
のは

島向こう側
細くて

あの細い所に
人は居ない

豊かな空と豊かな海原ながら
あの島向に
人は居ない

それ寂しい

豊かな畑に居ながら

それ寂しい