宇宙樹かや






世界樹に「宇宙樹か」と尋ねたのです

最初だ。その質問最初だ。

意外と世界樹って
たどたどしい返答
南国諸島人々の如きたどたどしい交流スタイル

棚田のような世界。を棚田のような宇宙と言っていいかといった諸問題生じる質問だ。

そこかや
じっさい樹液供給されるのは社会なのか
人なのか

最初だ。その質問最初だ。

最初人間かや






宇宙服






飛空スター
ちょい酔っぱらい春

お花畑を素足にて駆けてきて
玄関先にソファ

原生林をスケッチ

誰かの
いえ
いつかの麦わら帽子よ

原風景をスケッチ

いつかの
いえ
誰かの作業デニムよ

現代巨大ビル群をスケッチ

宇宙の
いえ
学校の

宇宙服よ






小沢健二のホンタイ






叔父、小澤征爾さんには高崎線電車内にて遭遇した。スマホよりだいぶ以前で携帯電話実用初期な頃。

小澤征爾氏は多忙を首に数台かけていた。携帯電話を首に数台かけていたという事だ。

在来線に迷い込んだ迷い野鳥の如き存在意義であると私は察した。記念館に対するうんざり感を察したのは私だけ。当時そして現在、察してしまうのは私。

アフリカ原野に生息する細く気が強い野鳥の如き存在意義。私はいつだって狩人と勘違いされる。されど小澤征爾氏は「警戒なんかしちゃいねえぜ、ケッ」てな野放図大臣。

さて

なんの話でしたか





なんようすぎ






南洋杉あまもよいの
空に泳ぐように
聳えています

竜の背の尻尾に近い
畑傍に居ます

私の島は春風に
懐かれています

竜は荒々しい気配
けれど
私にはいつだって従順

私が天空にいるとき私は
竜に乗っています

そしてやっと
お話をします

楽しいお話をします

私の島は楽しいお話を
うれしく聴いています






芭蕉






風の入り口に
芭蕉は居る

芭蕉に守られて
ニライカナイ
微笑む

風の入り口に
芭蕉は居る

芭蕉は
人に知らせる

隣に居ないだれかは
隣に居ると知らせる

風の入り口で風に鳴って
ほんとうを知らせる芭蕉






ポエムってる午後






戸を押す大勢の善

準備体操しながら
ポエムってる午後

柔らかく複雑にそよいで精巧な動作を発揮している知性

北方の声は遠く昼の原野は趣のある即興舞踊

ポエムって背伸びして
原野猫な午後

ポエムって笛吹いて
舞踊猫な午後






鳥来る






鳥は来る

知り合いじゃない
けれど
よしなにと
鳥は来る

鳥について僕らはほとんど

知らない

僕らは鳥についてほんとの情報を捜す旅をするようにと
僕は人々に言わず
鳥に言っている

それでも鳥は来る

ありがたいことだ

鳥の声は歌じゃない

歌じゃないけど音楽かもしれない

鳥は飛ぶ
芸術より美しく飛ぶ
スポーツより力強く飛ぶ

ありがたいことだ

ありがたいことなんだよ





畑に来て対話






喜ぶ散歩となって

森麓の畑に来て
月下に立つ
冷気は我を熱くする

月下の森はお喋り

畑は静か

鍬で畑と対話する

森のお喋りに我も

畑とともに参加する





シフト






知らない滅びによりて
坂を溢れる群

猛々しい狂騒競争戦争
愚かへとシフト
自動シフトする
猛々しい計画

群と群と群

坂を溢れる

ヒトという記号

群という檻

記号の檻が

坂を溢れる






すべての世界






草原の雲は
あこがれの歌
夕暮れまで
ずっといる

すべての世界で
ずっといる

自然に
あふれた言葉が

きみの名だったらいいのにね

でも僕は
いつだって名を呼ばない

いつだって叫んでいる

心でずっと
きみの名を叫んでいる

そして
どの世界であろうと
きみを
抱きしめている

ずっと





彼来たりて






軒先に彼が来て
思い出話をすると
退屈な棒は震える

彼はすべてを知っている
だから
だいたいとぼけている

彼は縛られず縛らず
誰の軒先にでも居る
軒先にあわせて
話をすることなど
考えていない

退屈な棒は震える
同じように震える





素粒子の素振り






飛んでいった鳥の羽毛のような昨今の世界

気が遠くなるほどの
前ならえの列
前ならえの言葉の羅列

沈黙問う
紳士迅速に答える

紳士は素粒子の素振りをする

天空の連なりに添って愛を持つ




森思う






森近くの傾いた畑で鍬振る男

俺は心動く

たぶんおまえは

電気仕掛けの舞台で
踊ったり音出したりする会で
「感動した」とか

鍛えた運動性能を披露する
会で躍動する早い動きに
「感動した」とか

言ってるんだろうな


森そのものとなった寂しさの傍で
思う

森思う






ジュモン






モニュメントを抱え込んで

藪から棒に

「信じているんだ」

おまえのジュモンは
誰の錯誤なんだ

たどたどしい
おまえの言葉

いつでも
おまえ以上におまえの言葉を理解する

だがおまえは
おまえのジュモンを知らない

知らないからただヒステリックに奇声をあげる「信じているんだ」と奇声をあげる

すべてのジュモンを捨てろ

おまえのすべてのジュモンは錯誤

それより畑で野菜を育てろ


その野菜こそが
ジュモンだ