神保野原
牡丹の花だ
その上で
トライアングル薔薇
それらの上に
ほんわか月
トライアングル薔薇なリズム
牡丹なコーラス
ほんわか月なピアノ
夕映えな歌
なごんでいいか
なごんでいいさ
それじゃ
御言葉に甘えます
花と音楽
地下鉄の錆
軋む憶測
平和を撤去して広がる電気誤域
地下鉄風
未来階段
かけ上がると
温暖化ぶった看板
バーゲン世紀に並ぶ人々
立ち止まるふあんげ男女
ランドセルに楽譜
携えて並ぶ
ビル横に並ぶ
音楽のように
僕は英雄群の横に並ぶ
奴らに気づく群衆など
存在せず
僕は直接音楽の列に
話しかける
やっほう天気予報
群衆という書籍
都会という表紙
宣伝の如き洗練
人間に押し寄せてくる
呪縛
彼でさえ
七つ翼の
彼でさえ
救いを待っている
それらページを
飛ばして冬風
上機嫌なクルージング
おいら適度な
サイクリング
やっほう
ロック歌手
おいらロック歌手
衣装といえば
着流しステテコ
駅にコインロッカー
おいら自宅はそこで
駅雑踏の騒ぎを食事とす
そこで蓄電して
恵比寿アリーナで
パフォーマンス放電
宣伝せんで
おいらいっさい
宣伝せんで
宣伝せんのんに
おいら恵比寿アリーナ
ごった返し大盛況
犬のように騒いで
猫のように気まぐれよ
そんなお客に愛想笑い
ハイソサエティな
おいらロック歌手
国
ガジュマルのように立って
ずっと
海に向かう
パイナップル畑のように横たわり
ずっと
空に向かう
空に託した郷愁を
海に帰す頃
海と空を
労るように
夕陽がやさしく通りすぎる
やがて
僕はやすらぎの歌を
口笛で歌う
歌は星として
速度を増しながら
愛嬌ある国を遍歴する
でかい羽ばたき
下世話な規律など知らん
でかい翼で飛んでるだけだ
下世話な工作街が
でかい羽ばたきでポシャったなど知らん
でかい翼で飛んでるだけだ
下世話な騒音など知らん
待つなんて知らん
でかい翼で飛んでるだけだ
下世話な計画など知らん
でかい翼で飛んでるだけだ
偶然
丘にフェンス
フェンスの上に
鳩が居る
ふと
鳩を飛び越える
蝶
その軽やかにして巧みな飛空
その後
フェンスから
羽ばたく鳩
それぞれの羽は
奔放を演じながら
システム駆動にて
力強く羽ばたく
このような
風景は
茶飯事ながら
街を堂々と超える
人間の意味の及ばぬ領域に
偶然の正しさあり
veranda dance
月の光は昔の祈り
未来の微笑み
ベランダにおいでよ
洗濯物に頭撫でられながら
ベランダにおいでよ
洗濯したてだからひんやりするけど
月の光で暖まりなよ
月の光を浴びて
背伸びして
もっと近く
もっと近くまで来て
暖まりなよ
森言葉
森を繁栄させる言葉として
蝶や鳥などがいる
他の動物も
森の言葉である
これらの言葉を使って森は種子を運ばせ繁栄していく
鳥は大昔
恐竜だったとの説がある
恐竜は
使われなくなった言葉である
流行らない言葉であるから
鳥という
より適した言葉へと変化したのだ
鳥はより遠くへ種子を運べる
はたして
森にとって
人間は使い続けるべき言葉なのか
人間は流行遅れの言葉になってしまったかもしれないのだ
だがとうぶんは大丈夫だ
「他の惑星に種子を運ぶ」
これこそ森の言葉なのだから
白虎の心
音楽に辿り着かない
グルーヴは訪れない
言葉は届かない
嘆きを咆哮に
渇きを走行に
彷徨を繰り返しながら
次元の謎を笑いながら
王道を駆ける
駆ける場所すべてを王道にして
荒野に街に響き渡る
白虎の心
万物屋
万物屋という店を開けたのは
早朝の風でした
風が店の扉を開けたのです
あれだけ
力自慢の男達が入れ替わり立ち替わり訪れて
万物屋の扉を開けようと長年挑戦し続けたというのに
あっさり開けたのは爽やかな風だったのです
万物屋のなかに人々は入りました
秘められた品々が陳列されているはずの扉の向こう側は
荒野でした
荒野の真っ只中で途方に暮れる人々
振り返ると
扉は閉まっていたということです
扉に書かれた
店の名前は
万物屋
菖蒲園
ガラシャツを着た男と薄笑いのマスクを被ったような男が
舞台の中央に
媚びるでもなく
ひねくれるでもなく
リズムよく出てきましたな
あれですよ
なんでげすかね
あいつの話です
ああ あいつね はいはい
あの
山のように大きなやつの話ですよ
おい おい ちょい ちょい
山のように大きなやつなんて
存在せんぜ 存在せんぜやんしょ?
こっちこそ おい おいだよ
話の流れってのを知らないのかおまえは
話の流れ知ってたら今頃 こんな汚い小屋じゃなくて
テレビで漫才やっとるわい えっへん
えっへん じゃないよおまえは 失礼なやつだなあ とにかく話の流れを汲み取ってテンポよくやりましょう
わかった わかった えっへん
じゃ 初めから…あいつの話ですよ
あの 川のように大きなやつの…
おい おい 話変わってるじゃないか
おや 話の流れを汲み取ってるじゃないかおまえは
もういいよ
この二人は今も小屋で頑張っているということでございます
青龍の心
花は白
階段は黒
紅の舟
青い希望
王の帰還に
万物が震える
白い知性
黒い力
紅の羽ばたき
旅する青き王
存在を超えた
大いなる愛を
まとう世界の
青き王の帰還に
玉座は称え
花は喜び
王を迎える
そしてまた
それぞれの旅
詩人
詩集なら街
詩集は
大きな書店に整列して
あなたが到着したならば
丁寧なお辞儀をしてくれるでしょう
新しい詩集のインクの匂い
上質な紙のやさしい手触り
あなたは高価な詩集に酔いしれるでしょう
でもあなたが
詩人をお探しなら
詩人は街にはいません
山の草の中を探してください
大きな石の裏を覗いたり
大きな木の枝に腰掛けたりしてください
きっと
そこに詩人がいますから
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