ほのかなる相互の祝祭ムーン
島を包んでいる昔の島をいま包んでいる灯台を支えている
ほのかなる相互の祝祭ムーン
うなばらにて呼びあう
道のずっと後に夏雲
道のずっと前に夏雲
どちらかは秋雲でしょう
きっと秋でしょう
遠くて近い
親しい存在
大きい存在とは
遠くて近い
親しい存在
並んで
夏なのに行儀良く並んで
待って待って
美術館
ありがたがって
芸術家らの絵をありがたがっておがむ
何をありがたがっているのでしょうか
夕べ
すいている場所で
ゆったりと
ギンネムと並ぶ
どんな芸術家より上手な線に感心する
小鳥来て
ギンネム線を重力でつかの間かきかえる
美しい夕べ
浅瀬に立つ鳥
待つ天涯を支え待つ
強靭な待機
待つことがすでに実りである
たましいを持つ存在を
人という
少ない人だが
じゅうぶんである
石段を
下り下界の重量を取り戻す
教えとは
静寂の声
静寂の声降りそそぐナンヨウスギの下を過ぎ行く
ところどころに
広場あり
立ち止まり
木々を見上げる
空を見上げる