真詩 3



【静寂の器】


降りてくる

言葉

受け止める最初の器は小さく

高い峰に置かれている

溢れて流れて

大海に集う頃

忘れ去られた

意味が

帰路をたどり

上空へ

雲となり

待機する

常に

言葉を

吟味しているのは

小さく気高き

器であり

それが

個人である

あなたは

個人として

静かでなければならない

静寂の

峰にて

きみを待つ





【モクマオウ】

雨のように綴られた認識にスタンプを押し付けるのを

今すぐ止めなさい

すでにして
色褪せている

思わせ振りな
スタンプを

馬の繋がれていた
モクマオウの下に
置きなさい

もうすでに

乱舞する歓声も
量座する拍手も

静寂に吸い込まれ
安らぎを得ている

モクマオウの

繊細な輪郭が

縺れながら

時間を修復している
新しい時間の

流れのほとりで

きみを待つ





【帰る】


帰りついた場所


からさらに


どこかに帰ろうとすることはないか


俺はある





【進化】


適当な


天体にでも


乗せとけば


しばらく執着するだ ろう


ぐらいの
いい加減さで


設定されている


かもしれないぜ


生物の進化なんて





【ほんとうの言葉】





自動販売機に
コインを入れる

落下して
音ひびく

その音は
コインと自動販売機の

双方の音

ではなく

俺の音だ

だから

俺が
遠吠えで
聞かせる


俺の声は

君の

たましいだ



御覧

誰かが

いつか
解き放った

声の

ようにして

雲が
漂っているよ

アーティストに頼ってばかりいないで


君のほんとうの言葉を
解き放とう


あの

雲の下で

君を待つ