ヌーバニア山頂上






雲近き
山頂上に
僕達集合して

そして空は小さい
意外と
宇宙は小さいと
したって不思議じゃない
ほどに

山頂上に
海の潮の香りや
鶉の巣の匂いや
保育園の毛布の
埃さえ
山の頂上に集合している

憤りをしばし
頂上に降ろして
塩お結びを食べる









山の人達






夕暮れの細い山道を上がって
道の傍にピンクの花が咲いていることに気づく

鮮やかさが身を引いて
謙虚な美しさがピンクの花を照らしている

山道をさらに少し上がって
道の果てに着く

そこから山の上を知る

電柱が聳えている
潔い勢いで電柱が聳えている

振り返ったなら

そこには
明かりを灯した街が広がっている

山道を降りる
街明かりに向かって

振り返ったなら
手を繋いで
横に広がった人達

山の人達






青春






砲台の高台

過剰な活劇

活力源が悪

愚鈍な悪力

地図を広げれば

嘘の領土

立てる旗から滴り落ちる悪

連敗の都市計画

堕落の余波

追尾する

追尾される

追尾するを追尾するを追尾するを追尾する愚鈍な魔

滴り落ちる悪

群がり噛み合う利益連敗

個人の異常を指摘する集団の異常

集団と集団の相互堕落の成れの果て

過剰な活劇に組み込まれるダンス

あわれな振り付け

踊らされず

丘にて豊かな青春











島に森

寂しさとして森
寂しさの酒類

寂しさの酒類

最も美酒なのは
銀月酒

いま銀月の下に居る

寂しさ越えて
美酒に酔う





真詩満載






ゆうぐれに

ふと雲

遠くにあって

そして近い

小さな声を満載して

大きな雲

近い








島秋






島秋はレイン
やさしいおとを
畑に広げる

島秋は愛しい人々
畑に昔の
畑にあすの
愛しい人々







真新しい祈り






満ちてくるちから

水平線に乗る島は細い

空と海と島

声を合わせている

あのこきゅうは

祈り

真新しい祈り








静かな歌






水平線上空は


徒歩で列なして


ゆっくり歌いながら徒歩

静かな歌だから

聴いて嬉しい

惑星は繊細だから

静かな歌

惑星は嬉しい

私だって嬉しい





アルカイックスマイル






王に問う
松の如き 王よ
なぜ再び丘に来た ?

椿が呼んだ

その夕空は
アルカイックスマイル






ヌーバニアカラオケ






場末のカラオケ屋台で
今朝歌った
クリスマスソングを
歌ったら
クリスタル音響
街を清らにした
カラオケ屋台古くて
スピーカー
化石となってたんだ





ヌーバニア賛美






オクトウバァレインボゥ
くぐる森の奥にて
賛美せよ
森を賛美せよ
 
ジュピタァから訪れる
滝の飛沫を
ムゥンから訪れる
楽団の怒濤を
賛美せよ

大人気な森を

賛美せよ







真詩帆






太平洋

そこかしこにうるさ型の風

湾にほだされ平静

そっと浜に立つ男

原初口笛で船いっせいに帆を張る






ヌーバニア






ヌーバニアまで

歩きでじゅうぶん

近いに違いない

わすれられてしまった

丘など

たくさんあるから

ゆっくり

歩いていらっしゃい

ヌーバニアは

すぐ

そこにある









真詩静けさ






レイン

木の葉うらに潜んでたバタフライ

レイン上がると

小さな草花へと

移動する

下方にゆらり

移動するバタフライ

美しい

静けさは美しい







真詩冬の船






今宵頂点の星座
悠久の香り

波紋の羽音をたて
たましいの船
ひた走る

きみの
真っ直ぐな歌を
帆に受けて
ひた走る







ハンサム






おまえの

瓶の蓋は

おれが開ける

おまえの瓶の蓋は

おれが開ける

だが 待て

その瓶は

おれの瓶だぞ

しかたない

おれの瓶を

お前にあげよう

ただ

そのラベルは

俺の額に貼ってくれ
ハンサムと書かれた

そのラベルだけは

俺の額に

貼ってくれ






善ます






オクトウバァレイン
降りしきる
キビ畑にて
風を拾って

オクトウバァレインボゥ
架かるところ
速度ます

善なる飛翔

速度ます






真詩人






島は島だ
所有できない
海原は海原だ
所有できない

ほんとうの言葉は
所有できない

常に新しくして
心震わせて

すべてを新しく所有しながら

真詩となって心震わせる







真詩荒野






バタフライになったりブルースになったりツンドラになったりだ
休息の地平線に浅く腰掛け靴紐を結ぶのさ
スティックはコーラの空き缶
荒野はロックンロール







愛を呼ぶ






雨を呼ぶ
雨が来る
身近に

冷たいけど身近に雨が降るとき寂しさが冷やされる

冷えた思い出を持ち運んで傘の内側は少し

少し温い

それを愛と呼ぶ

雨を呼ぶ
雨が来る
愛とともに