真詩存在






笹に盛んに話しかけられ

よいところは

返事を待たないところ

心地よい

リュウチョウ

飛ぶ感覚

心地よい

薄やわらかな挨拶

心地よい

かしこい存在

心地よい









真詩世界






丘で朝まで過ごす丘は静かで
愚かさは静けさに吸い込まれてどこかへ
世界とされるウソセカイはだいぶ以前から異常事態
戦争や災害や不正
残虐な悪魔的心理状況

丘まんなかで上を見上げる
するとまだ
美しい星座は
まだある
不思議なことにまだ美しい星空がある

不思議は普遍だ






リュウジュ






丘まであまぐも親しく降りてきたのだから超越を飼い慣らしながら東北東へ向かって走る
花を抱えて歌にして遠くまで届けたからリュウジュ高く鳴る







越える言葉






5千円の書物
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パタン

我らの言葉は
弁当箱

あのかたがた
あのかたがたの
弁当箱

時を越える
真の言葉は

書物とならない

雨だ風だ緑の舞踏なんかだ

弁当箱に
しがみついて
争ってはならないと言う

雨が風が木々が
言う







小さな場所ほどちからが大きい






白い花たちがそれぞれ小さく風に揺れている

餅を包むのに
使用される大きな葉っぱ風にかすかに揺らぐ

ギンネムの実は毅然として
少宇宙に惑星として成り立っている

オレンジ色の美しい葉っぱが
ダンスを初披露する少女のように
恥ずかしさと誇らしさに舞う

長い年月を
留まることに費やしてきた大きな樹は寄り添う樹たちと競いあいながらも
確実な存在空間を守り続けて立つ

これほどの賢さ
これほどの存在のちからは人類より上である

この
小さな場所が

人類が築き上げた世界より
上質である

ときどき
破壊をなす仕掛けの機械が
がさつな音をこの場所にさえ届けてしまう

この場所に椅子を置き
僕は
座っている

押すちからがある

巨大なちからを
押してくるちからを心地よく感じる







島旅






彼女の鞄の重さ
彼女のはにかむ軽やかさ
日傘を張る力強さ

太平洋は忘れさせ
東シナ海は蘇らせる






誰かいる






海に向かう
誰かいる
たしかに
海ぜんたいに
誰かと誰かと誰かと誰かと誰かが必ずいる
悠久なエネルギー
おだやかな揺らぎ
それらを越えて
ずっと
そこに誰かがいる





喜び真詩






竜の背に居る
両翼はタイヘイヨウヒガシシナカイ

リュウキュウヒコウは
小さな速記詩人
クリスタルクウキの喜び

僕はずっときみの喜び






星とキビ畑






川沿いキビ畑

台風ほとんど来ない
このごろだから
キビすっくとまっすぐ
大きいキビとなった

ギンネムさやにひそむ
幼い新星

それはそっとして
大らかな真実







ほほえむ男






すらりとやぼったく
うたかたな流れ荒くして
新星静かなり
ほほえむ男






八百万世界





たどり着いたとき空腹の予感
そこにリュウキュウオウ樹
その葉っぱにゆだねよう
葉っぱの方向へ潔く行こう
と決心したけれど
リュウキュウオウ樹の葉っぱ
八百万世界を擁して
吾をからかう夕月夜かな




島秋







島バナナ

夕映えて

げらげら揺れる

琉球バード

すんなり飛ぶ

手を上げて秋に挨拶

島はいつだって

ほんらいの自由に

溢れている








尾崎豊のホンタイ






尾崎豊の歌を丘で歌う
そしたら
尾崎豊の歌は
癒やしてくれる

昔、尾崎豊の歌は
とにかく悲しい歌だった

いま
尾崎豊の歌は
自由だと

丘に来て歌って
わかる

尾崎豊の歌は
街歌だった
悲しい街歌だった

いま
尾崎豊の歌は
自由だ

より大きくより自由だ

どこか自然まで来て
歌えばいい

尾崎豊の歌は

大きく自由だ